
Interview 座談会
Group Interview
地元の方々とともに、自然とともに。
KENの新しい挑戦「次世代エネルギー」の開発現場を語る
再生可能エネルギー開発を行う「エネルギー事業開発部」は、2013年に開設された新しい事業部です。
運用する太陽光発電所は、東京電力管内最大級の発電量(年間
約8,000 万 kWh)。
一般家庭およそ2万世帯分の電力を供給します。
高級不動産のトップランナーでありながら、広大な土地を活用し社会貢献を目指すエネルギーカンパニーとしても成長するKEN。
その開拓精神を象徴するセクションについて、事業開発部のトップと1年目のメンバーが語りました。


常務執行役員
島影 朋範

新卒
池田 のどか
2024年入社
エネルギー事業開発部の業務について教えてください。
再生可能エネルギーの開発から管理まで

島影
太陽光や風力といった「再生可能エネルギー」の発電所を自社で新設し、運営から管理までを一括して行っています。 現在は太陽光発電所が群馬・茨城・栃木の北関東エリアに8ヵ所稼働中です。いわゆる「メガソーラー」ですね。敷地総面積は東京ドーム58個分、太陽光パネル約27万枚というスケールです。

池田
年間発電量は一般家庭約2万世帯分で、東京電力管内で最大級の発電規模になります。事業への取り組みは2013年から始め、発電所の稼働は2015年からですよね。

島影
そうですね。きっかけは東日本大震災後の固定価格買取制度(FIT制度)の開始。クリーンエネルギーへシフトするため、再生可能エネルギーの電力を国が買い取るというもので、そこにKENとして進出したわけです。
50年を超える歴史を持つKENのなかでは新しいチャレンジですが、現在では事業規模と収益性の高さから不動産事業・ホテル事業・エンタメ文化事業と並んで重要事業のひとつとして位置づけられるまでに成長しています。
エネルギー事業開発部のメンバーは、日々どのような仕事をしているのでしょうか。
発電所を「止めない」ことの難しさ

島影
エネルギー事業開発部は、現在8名体制です。基本的には東京の本社オフィスに出勤し、委託先の管理会社様、施工会社様と連携を取り合い業務を進めていきます。
エネルギー事業は、発電所で生み出した電気を売電することで収益を得るビジネスモデルです。だから私たちの最大の役割はこの売電収入を毎年安定的に確保すること。少しでも発電量を増やす、あるいは減らさないことが重要であり、そのために日々の業務が円滑に進む必要があります。
でもこの仕事の難しさは、自然が相手であることだよね。

池田
そうですよね。日照時間によって発電量が大きく変わってしまいます。季節に左右されるだけでなく雨や曇りなどの影響も受けますし、ソーラーパネルに雪が積もったら溶けるまで発電されなかったり。自分だけの力ではどうにもならないことが多いです。

島影
1年で最も発電量が多い5月と、最も少ない12月を比べると、倍以上の差があるからね。発電所は山間部にあり、落雷や自然災害などによっても大きな影響が出てしまう。


池田
その中でも、できる限り安定して発電所が稼働するために私たちがいるんですよね。毎朝出勤すると発電量を監視システムで確認して、現地に異常がないかをチェック。施設の設備や機材に故障が出ないよう整備したり、ソーラーパネルの周りの除草をしてもらったり、全然放っておけない。配属される前は、こんなに細かなメンテナンスが必要だとは思いませんでした。

島影
しかも、最近は自然環境以外のトラブル要因もある。この1年半は「銅線ケーブルの盗難」に悩まされ続けました。ケーブルは発電所の生命線で、被害に遭うと復旧費と利益損失で何千万円もの損害が出てしまう。

池田
敷地が広いから、セキュリティ対策がとても大変でしたよね。カメラやパトロールランプ、夜間巡回員の方を配置して窃盗犯の侵入対策をしても、いたちごっこになってしまいました。

島影
池田さんが入社した時期にまさに盗難被害が起きていて、配属直後から試行錯誤の連続だったね。発想を変えて「侵入されても盗まれない」仕組みを考え出してから一気に盗難被害は減り、現在は100%近くまで復旧できた。次に活かさないとね。

池田
出張で現地に行くたびに、管理会社の方々と状況を話し合っています。発電所の近くにお住まいの方も「不審者が近くをうろついていないかいつも監視しているよ」とおっしゃってくださり、「トラブルが起こらない」ということがすごくありがたいと思うようになりました。地域の方々と一緒に進めている私たちの仕事が、2万世帯の人々の生活の一部になっているんですよね。
池田さんは入社1年目ですね。配属されてから今まで感じたことを教えてください。
新しいメンバーを迎え、エンジンをかけるタイミング

池田
実は、私がKENに入社した2024年までは、エネルギー事業開発部は新卒が配属されていなかったんです。私の第一志望は不動産の企画開発部門。大学院では建築を学び、まちづくりに関わりたいと思っていました。「Kアリーナ横浜」が代表的ですが、KENは大手不動産会社のようにスケール感のある開発を行いながらも、若い社員に大きな裁量を与える会社です。その現場で思いっきり挑戦したいという気持ちがありました。
でも、最初の2ヶ月の研修を終える直前、エネルギー事業開発部への配属を打診いただいたんですよ。直接、社長から(笑)。

島影
びっくりしたよね。会社としても異例のことだったと思います。

池田
はい。研修でも説明は受けたものの、新卒が配属されたことのない部署だったので驚きました(笑)。そのとき話されたのが、エネルギー事業をこれからもっと大きくしてくれるメンバーが必要だということと、「ゼロからイチをつくれる人に来てほしい」ということでした。私が企画開発を目指していたことや、研修結果のレポートなどを読んで声をかけていただいたんですね。

島影
太陽光発電所は運転開始から20年の継続買取が決定していて、現在はちょうど折り返し地点。発電所を安定稼働させる業務にとどまらず、将来はもっと拡大し、陸上風力や地下資源開発、いずれは洋上風力や小型原発などの新分野にも出ていこうと思っています。
政府は第7次エネルギー基本計画案で、2040年度の再生可能エネルギーを50%まで引き上げる方針を出しています。これからどんどんマーケットが広がっていきます。
数年がかり、あるいは10年を超える大規模なプロジェクトが始まるでしょう。これまで事業開発部はベテラン社員を集めてきましたが、いまこそ若い人にキャリアを積んでもらいたいと思っています。エネルギー事業開発はKENのなかでも最もダイナミックで、未知の領域。人としての成長も大きな仕事だからね。

池田
たしかに、専門性と新しい学びがとても多い仕事です。最初の半年間は必死で勉強しました。配属時は会議で話されていることが何もわかりませんでしたが、チューターの先輩がエネルギーに関する制度や仕組み、ニュースなどのお題を出してくれて、それを調べるうちに背景やこれまでの経緯、国の方針などがわかってきたんです。オンラインで開かれている研修に参加したり、エネルギーのEXPOで講演を聞いたりと、勤務時間内で継続的に学習の機会を与えていただきました。部門全員で育てていただきましたね。
これから挑戦していきたいことは。
開発を前に進めるのは、何よりも「信頼」

池田
1年経ち、現在は青森県で陸上風力発電所の開発を進めています。森ビル株式会社様との共同事業です。開発による動植物への影響を低減するための調査、法令の許認可取得など越えなければならないハードルは多いですが、その分多くの人・会社と関わり、開発のスケールも大きい壮大なプロジェクトなので、やりがいのある面白い仕事です。
特に、地域住民の方々のご理解を得ながら進めていかなくてはと思うんです。

島影
私もその通りだと思います。KENという首都圏の高級不動産を扱ってきた会社にとって、地方でのエネルギー開発は完全なアウェイです。それでもここまでのビジネス規模に成長できたのは、オーナー企業ならではの圧倒的なスピード感と、何よりも「人」と向き合い、貢献しようとする理念と行動によるものですから。


島影
再生可能エネルギーの発電所には広大な土地が必要。その地権者の方が私たちを信頼して土地を託し、長年住んでいる方々に「金儲けだけを考えているのではないんだな」と信用されなくては開発は進まない。エネルギー事業の成否は、地元住民や自治体との合意形成の可否といっても過言ではありません。そのために現地に直接足を運ぶことも大切な仕事です。

池田
今でも年末に太陽光発電所の地権者の方々をひとりひとり訪ねてご挨拶をしていますよね。
私は配属から4ヶ月経った頃、風力発電所の事業予定地の住民の方々に対する説明会が印象に残っているんです。参加された方々は皆様真剣で、まっすぐ疑問や懸念を投げかけてきます。その方々の目を見て、自分で考えた自分の言葉で事業について説明できたことで、計画段階の事業にぐっと現実味が増し、責任感が湧いてくるのがわかりました。


池田
将来は新たな事業の主担当者になり、大きなプロジェクトを自分の手で完遂させてみたいです。
幸い、現在進めている事業では社内の先輩方だけでなく、共同事業者や協力会社の方々など、多くの尊敬する皆さんに囲まれて仕事ができています。皆さんの仕事を観察して学んで、どんどん真似していきたいと思っています。
また、エネルギー業界で後輩となる女性の目標になれるようなキャリアを築いていくことも大きな目標のひとつです。

島影
そうですね。エネルギー事業開発部は、誰でも主役になれる部門だと思います。日々、未知の経験の連続で学びに溢れている。私も池田さんと同じく、まだまだ学ぶことが多いです。キャリア関係なく全員でともに成長しながら、KENで誰もやったことのない、新しい大きな柱を育てていきましょう。