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更新日:2023/2/8
オフィスの移転時には、敷金や保証金・原状回復工事費など、多くの費用が発生します。「何とかして少しでもそれらの出費を抑えたい」と考える担当者の方は多いでしょう。
そんな時に活用したいのが、オフィス移転の際に申請できる補助金や助成金です。今回は、オフィス移転時の補助金・助成金の概要、また利用する際の流れなどについて解説します。
同じような意味合いで語られることがある「補助金」と「助成金」ですが、実は明確な違いがあります。
例えば、助成金は決められた条件を満たせば基本的に給付されますが、補助金は予算や採択件数が決められているため、申請者全員が受給できるわけではありません。その他にも、助成金は厚生労働省が雇用増加や人材育成を目的として給付するので、雇用保険が財源となります。
これに対し補助金は、主に経済産業省や地方自治体がその政策を推進に寄与する組織や個人に対し、税金を財源として給付します。
このように、補助金と助成金の定義は異なりますが、実際の運用では明確に区分されているわけではないので注意が必要です。オフィス移転に関係する給付制度もありますが、「助成金は条件を満たせば必ず給付される」とは考えず、実施される内容を理解して活用しましょう。
2022年11月時点の制度となります。最新の情報は各自治体にご確認下さい。
補助金・助成金は幅広い分野で用意されています。ここでは、オフィス移転に活用できる補助金・助成金について解説します。
ものづくり補助金は、中小企業が生産性を向上するための設備投資を支援する補助金です。オフィス移転とは無関係に感じるかもしれませんが、生産性向上を目的とした移転であれば申請できます。ただし、事務所の家賃や保証金・敷金などは補助の対象とはならないので注意しましょう。
事業を次の世代に引き継ぐのに伴って経営革新や新しい事業をスタートする事業者が利用できます。事業承継を契機に新しい事業を始めるのであれば、事務所の移転費用を申請可能です。また、新しい商品の開発やサービスの提供、新たな顧客層の獲得といった理由も対象となります。中小企業だけでなく個人事業主でも申請が可能です。
小規模な事業者(業種により5~20人まで)が、持続可能な経営のために販路開拓や生産性向上などの取り組みを行う際の補助金です。他の補助金と同じく単なる事務所移転では対象とならないため、販路開拓や生産性向上などにうまく絡めて申請する必要があります。
東京都内で創業を予定している、または創業から5年未満の中小企業が対象の助成金です。従業員の人件費やオフィスの賃借料、広告費など、創業初期に必要な経費に使用できます。
補助金・助成金は、国や都道府県だけでなく市区町村でも実施されています。ここではエリア別に、オフィス移転に活用できる制度を紹介します。
2022年11月時点の制度となります。最新の情報は各自治体にご確認下さい。
港区の新規開業賃料補助は、区内で事務所や店舗を借りて新しく開業する際に賃料を補助する制度です。創業して2年未満、生鮮三品販売店舗に関しては5年未満の事業者に対して、月額5万円を限度に賃料の3分の1が補助されます。
渋谷区内で事業を営む法人・個人事業主が事業資金の融資を低利で受けられるよう、金融機関へあっせんする制度です。対象は、渋谷区に主たる事業所及び本店登記を有し、1年以上事業を営んでいる事業者です。融資金の用途により利率や限度額は異なりますが、運転資金として借り入れる場合は次の通りです。
幅広い用途に資金を使用できるため、事務所移転費用や敷金・礼金などの支払いが厳しい場合は利用を検討してみましょう。
横浜市外の企業が横浜市に初進出する際、事務所等の床面積に応じて給付を受けられる制度です。ただし、すべての企業が受けられるわけではなく、環境・エネルギー分野や製造業など、横浜市が指定する成長分野の企業に限られています。
オフィス移転において補助金・助成金を活用するメリットは主に2つあります。1つ目のメリットは、オフィス移転の費用を抑えられることです。それにより浮いたお金は、設備投資や人材育成などに利用できます。
2つ目のメリットは、企業としての信頼性を得られる点です。補助金や助成金の給付を受けるためには、書類選考や面接などによる審査があります。審査に通過するということは、国や地方自治体に事業の将来性や可能性が認められたということです。補助金・助成金が給付されると公式サイトで企業名が公表されるため、取引先などに対する自社のアピールにもなり、企業の事業価値や信頼性のアップに繋がります。
一方、補助金や助成金を活用することのデメリットとして挙げられるのは、申請に手間がかかることです。
申請書の内容は各補助金・助成金の種類により異なっており、自社の強みや経営方針、今後のプランなど、記入に時間がかかるものもあります。経営者であれば「事業プランなどすぐに書ける」と考えるかもしれませんが、倍率が高い補助金に申請する場合、中途半端な内容では給付を得られません。他の経営者が考える事業プランの一歩先を行く申請書を作るように心がけましょう。
また、オフィス移転の前後は仕事が慌ただしくなりますので、どうしても時間が取れない場合は、書類作成のアドバイスをしている中小企業診断士や税理士に相談してみましょう。
補助金・助成金は、申請し給付を受けて完了、といった単純な流れではありません。すべての手続きが完了するまでの一般的な流れは次のようになっています。
2022年11月時点の情報です。手続きの流れについての詳細は各自治体にご確認下さい。
補助金・助成金を受け取るまでには、このように多くの手間と時間がかかります。ただ、近年では電子申請が可能になったり、提出書類が減ったりなど、簡略化される傾向もあります。
オフィス移転で補助金・助成金を申請する場合、いくつかの注意点があります。ここでは特に注意すべきポイントを3つご紹介します。
事業者が受け取った補助金・助成金は基本的に課税の対象となり、法人であれば「法人税」、個人事業主であれば「所得税」が課税されます。消費税は課税されないので、経理作業では非課税取引として処理しましょう。
また、会計処理上では計上時期にも注意が必要です。「支給が決定した日が収益を計上する日」なので、支給決定から振込日までに日数があり、期をまたいで処理してしまうと、税務調査で指摘される可能性があります。
補助金・助成金の申請期間は年度ごとではなく、基準期間が定められています。例えばものづくり補助金であれば、令和3年は第5次~第9次までの受付を行っていました。
ものづくり補助金のように年間を通して公募されている補助金・助成金は多いですが、予算案が可決されなければ急な打ち切りもあり得ます。一年中いつでも公募されているからといって後回しにせず、打ち切りになる可能性も頭に入れて早めの申請をすると良いでしょう。
また、最初から期間限定で申請を受け付けている補助金・助成金もあるため、情報を素早く入手して申請することが大切です。
申請の流れで説明したように、補助金・助成金は後払いが基本です。そのため、「お金がないから補助金・助成金で支払いしたい」というような使い方はできません。事業にかかる費用を正確に把握し、それを支払えるだけの手持ち資金を用意しておきましょう。
ここまで、オフィス移転の際に活用できる補助金・助成金について解説してきました。オフィス移転をする際には、新しいオフィスの賃料、敷金、保証金、新しいデスクや備品代など、何かと資金が必要となります。
オフィス移転をしてもスムーズに事業を拡大していけるよう、補助金・助成金を活用して安心のオフィス移転を実現しましょう。
その他のオフィス移転お役立ち情報
賃貸オフィス探し 成功のポイント
都心でオフィス移転を検討されているお客様のよくあるお悩み、状況や希望にあった不動産会社選びのポイントをご紹介します。
オフィス移転の流れ・スケジュール
必要な作業を整理し、移転日までのプランを明確化することで、スムーズなオフィス移転を行うことが可能となります。ここでは、参考となるオフィス移転の流れとスケジュール例をご紹介いたします。
予算シミュレーション
オフィス移転に際して必要となる費用の概算を、想定される最少金額、最大金額でシミュレーションできます。
オフィス・事務所関連の用語集
オフィス・事務所を探すにあたり、頻出する用語・ワードの内容をご紹介させていただきます。掲載の用語以外にも契約書における文言・設備野意味や仕様などはお気軽に担当営業員にご相談ください。
オフィス移転に関するQ&A
これまでに借主様から当社に寄せられたオフィス移転に関するよくあるご質問をQ&A形式で紹介します。
オフィス移転の費用相場ガイド
オフィス移転にあたっての費用の相場をご紹介。できるだけ費用を抑える方法もご紹介しますので、オフィス移転をお考えの際はぜひ参考にしてください。
事務所・オフィス移転に必要な手続きとは?申請期限とともに紹介
事務所・オフィスを移転する際には、登記や税務情報の変更など多くの手続きが発生します。しかし、事務所の移転は頻繁に行うものではないため、すべての手続きを正確に把握している人は少ないのではないでしょうか。
オフィス移転に活用できる補助金・助成金の種類や注意点について
オフィスの移転時には、敷金や保証金・原状回復工事費など、多くの費用が発生します。そんな時に活用したいのが、オフィス移転の際に申請できる補助金や助成金です。オフィス移転時の補助金・助成金の概要、また利用する際の流れなどについて解説します。