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Vol.10 横浜開港150周年の歴史 ~歩いて感じる開港の歴史~

横浜開港150周年の歴史 ~歩いて感じる開港の歴史~

横浜の昔と今をつなぐ汽車道

汽車道

開港の地、横浜。街の至る所にその歴史を感じさせる建造物が点在している。今回は、その歴史の建造物たちを歩いてたずねてみた。
出発地点は汽車道。みなとみらいのビル群のスカイラインを目の端にとらえつつ、みなとみらい21新港地区へ向かって歩いていく。明治44年に開通した臨港鉄道の一部を利用し、海の上の遊歩道として生まれ変わったのが現在の汽車道だ。レールや鉄道橋、駅のプラットホームなどが当時の面影を残す。ここはかつて横浜港の貨物を一手に輸送する鉄道の動脈であり、横浜港発展の歴史を物語る貴重な場所だった。現在は、道の両側に運河が広がり、心地よい海風に吹かれながら、ゆっくりと散策を楽しむことができるスポットとなっている。

汽車道の終点、そこはもう新港地区。人々でにぎわうワールドポーターズや風格ただよう赤レンガ倉庫が迎えてくれる。赤レンガ倉庫を背に新港橋を山下公園方面に歩いていくと、左手に海に面した開放的な広場が見えてくる。横浜開港150周年を記念して整備された「象の鼻パーク」だ。大さん橋、赤レンガ倉庫、ランドマークタワー、ベイブリッジなど、横浜の名所を一度に見渡すことができる絶景スポットとなっている。「象の鼻」というユニークな名前の由来は、大さん橋国際客船ターミナルの基部に左手方向へ延びている防波堤の形にある。上空から見ると、その形はまさに「象の鼻」だ。
ここは、1854年3月31日、アメリカ合衆国のペリー提督が2度目の来日で初めて横浜に上陸した場所であり、開港後は、横浜で最初の本格的な波止場として、諸外国との貿易の中心地として栄えてきた。現在の防波堤は、関東大震災でその大部分が沈んでしまった明治中期の堤防の形状を復元したものだが、象の鼻パークの整備中に発見された開港初期の石積み防波堤の一部を見ることができる。

横浜のアンティークビルを訪ねて

横浜税関

象の鼻パークから関内地区にかけては、横浜の歴史を物語るアンティークビルが軒を連ねる、日本大通りへ向けて歩みをすすめると、まず出会えるのがエメラルドグリーンのドームが一際目をひく横浜税関だ。開港以来、横浜港での貿易を支えてきた要所である。
税関の歴史は安政6年までさかのぼる。税関の前身である「神奈川運上所」が現在の県庁の場所に作られ、当時は、貿易や関税だけでなく、外国人に貸した土地料金の徴収、内外人と の間に発生するトラブルの処置など外交関係全般から船舶の製造、修理などまで担う機関であった。明治16年には象の鼻地区へ移転。現在の建物は3代目のもので、昭和9年に竣工した。

神奈川県庁

ロマネスク様式を基本とした、イスラム寺院を想わせるその優美な姿は「クイーン」と称され、市民に親しまれている。現在も現役の庁舎として使われているため、普段は内部に入ることはできないが、一部が横浜税関資料展示室として開放されており、横浜開港の歴史や貿易の第一線にある税関の役割を学ぶことができる。 横浜税関(外部サイトにリンクします)

クイーンに別れを告げてさらに進むと、神奈川県庁だ。重厚な5階建ての建物と塔は、五重の塔をイメージさせ、どっしりと構える様は、まさに王者の風格。こちらは横浜税関の「クイーン」に対し、「キング」の愛称で親しまれている。
昭和3年に竣工され、昭和初期に流行した、帝冠様式(洋風建築に和風の瓦屋根を載せたデザイン)の先駆けとなり、国の有形文化財に登録されている。
神奈川県庁(外部サイトにリンクします)

横浜市開港記念館

県庁から少し離れたところに、赤レンガと白い大理石で作られた美しい時計塔が見える。クイーン、キングに続き、「ジャック」の愛称で親しまれている、横浜市開港記念会館だ。開港50周年を記念して、大正6年に竣工された。建物は、大正12年の関東大震災によって一部が焼失したため、昭和2年と平成元年に復旧工事が行われ、創建時の姿に復元された。
ジャックの見どころは、外観はもちろんだが、その内観にある。館内は、飾り窓や装飾柱など華やかさと重厚感のある作りになっており、大正末期のインテリアを伝える。圧巻は2階の広間と中央階段の壁面のステンドグラス。日本初のステンドグラス工房である宇野沢組ステンドグラス製作所による、開港当時の様子を描いた作品だ。我が国のステンドグラスの歴史上、とても貴重な作品であり、国の重要文化財にも指定されている。横浜市開港記念館(外部サイトにリンクします)

語り継がれる横浜3塔物語

神奈川県庁(キング)、横浜税関(クイーン)、横浜市開港記念会館(ジャック)は、「横浜三塔」と呼ばれ、開港以来、横浜のシンボルとなっている。実は、横浜には「横浜三塔物語」という、このキング、ジャック、クイーンの三塔が同時に見えるスポットをすべて訪ねると願いが叶うという伝説が。そのスポットは、2009年9月現在、4カ所あり、いずれもみなとみらい線日本大通り駅から徒歩10分以内の場所にある。現地には目印も設けられているので、開港の歴史を感じる街並みを堪能しながら、この横浜三塔が見えるスポットを探してみるのもおもしろそうだ。

開港の地でほっと一息

日差しが差し込むテラス席

人気のクロックムッシュとカフェラテ

(左)日差しが差し込むテラス席
(右)人気のクロックムッシュとカフェラテ

大さん橋通りと山下公園通りが交わる位置に、日米和親条約締結の地である横浜開港広場がある。
石畳に噴水やオブジェが配され、木陰ではスケッチを楽しむ人々でにぎわう。
この広場を眺めながら、ほっと一息つけるカフェが「Au jardin de Perry(ペリーの庭で) 」。フランスの街角を思わせる店内では、焼きたてのパンや、ホームメイドのケーキが味わえる。開港の地で、当時に思いをはせながら、ゆったりとした時間を過ごしてみては?
Au jardin de Perry (外部サイトにリンクします) 電話番号:045-662-8345

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