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1988年に吉祥寺支店、目白支店(現:飯田橋支店)に次いで創設された自由が丘支店は2021年で33年目。目黒区、世田谷区、大田区といった首都圏城南エリアを中心に、武蔵小杉、宮崎台、宮前平など東急沿線の一部神奈川エリアを扱っています。
買いたい人、借りたい人が多いにも関わらず、物件が少なく、新築物件が誕生するとあっという間に決まるという当該エリアの人気ぶりとその背景、これからの動向などについて地元に詳しい営業員が語りました。
東急東横線沿線を筆頭に、ケン・コーポレーション自由が丘支店で扱っている沿線の住宅街はいずれも人気が高く、住みたい街・自治体として名が知られたエリアばかりです。どのような点が評価されているのでしょう。
「自由が丘に代表されるようになんでも揃う便利さ、街中にある物販、飲食などの店舗の質の高さ、都心、横浜方面への足回りの良さなどは当然として、加えて都心には少ない広大な公園や多摩川などの豊かな住環境が評価されているように思います。特に人気が高いのは駒沢公園。ファミリーを中心に駒沢公園周辺に住みたいというリクエストが多数寄せられています」と賃貸担当の黒田結香氏。
教育熱心なファミリーが多いという印象もあります。
「特定のどの学校が人気というのではなく、その家庭ごとのこだわりでこの学校、この学区指定で探したいという方が多くいらっしゃいます。交通手段は家庭によって異なり、車、電車、スクールバスなどとそれぞれ。慶應に通うから日吉と都心の勤務先との中間くらいでというような例もよく聞きます」と売買担当の朝日信行氏。
大型車を所有している、車が2台ある、大型犬を飼っているなどの理由から広いガレージがある、大型犬が飼える戸建てを探す人も。
「建物種別にこだわらず、自分の暮らしにあった住まいならマンションでも、戸建てでも良いと柔軟に考えていらっしゃる方が多いと思います。自分のライフスタイルにあった住まいを探したい、だからこの地域ということでしょうか」(黒田氏)。
最近は在宅時間が長くなったことから、もう一部屋ある広い住まいを探している、より静かな場所に住みたい、電車を使わないから駅から遠い場所でも良いというような探し方をする人が増えており、そうした人たちには世田谷区深沢を勧めているとか。
「深沢は駅からは多少離れるものの、駒沢公園が近く、せせらぎのある緑道も近接した静かで癒される環境が魅力のエリアです。特にお子さんがいらっしゃったり、大型犬を飼っているご家庭には散歩が楽しい街で、カップル・ファミリーには検討に値する地域といえると思います」(黒田氏)。
さまざまな魅力のある城南エリアには買いたい人、借りたい人からの問い合わせが非常に多いそうですが、残念ながら全てのニーズを満たすほどの数の物件がないのが現状です。
「当該エリアでは渋沢栄一らによって開発された田園調布のように大正時代という早い時期から宅地開発が進められてきました。そのため、今では大規模開発が行えるようなまとまった土地はほとんどなく、ランドマークとなっている大型物件も数えるほどしかありません。しかも、いずれも築年数が経っています。
たとえば今も人気の高い世田谷区深沢の東京都立大キャンパス跡地に建設された深沢ハウスは築17年になりますし、武蔵小杉で最初のタワーマンションが竣工したのは2008年。13年前になります。二子玉川ライズ タワー&レジデンスの竣工もすでに11年前で、現在は武蔵小山で開発が進んでいる程度です」と自由が丘支店支店長の大場修平氏。
大型物件があれば、買うにせよ、借りるにせよ、コンスタントに供給が見込めますが、中小規模物件が中心の当該エリアでは期待薄というわけです。また、土地、一戸建ての購入ニーズも高いものの、こちらも数が足りていない状況です。
ちなみに売買取り扱い物件としては、1億円前後~数億円の物件が中心です。
売買取引全体を10とすると、戸建て:4、土地:1、マンション:4.5,事業用の1棟ビル:0.5といったところです。
2000~3000万円位のマンション等の取引ももちろんありますが、3~4億円という流通が少ない高級な戸建てなどの高額物件はケン・コーポレーションと思って頂いてご依頼を頂くケースも多くあり、幅広い物件を取り扱っております。
「このエリアの売買では、通常の居住用マンション・戸建ての物件紹介依頼だけでなく、相続による大きなご自宅の売却や不動産資産整理、それに伴う買い替えなどのご依頼も多くあります。地元の不動産所有者からの依頼で、都心部のハイグレードマンションや投資物件をご紹介するなどエリアにこだわらない取引も取り扱えることがケン・コーポレーションの強みでもあります」(朝日氏)。
物件不足の一方で購入希望者が増加していることから物件価格は上昇傾向にあります。
「2017年に分譲されたディアナガーデン自由が丘の坪単価は高単価でしたが、2020年5月に着工したザ・パークハウス自由が丘ディアナガーデンはそれを上回る単価で販売から間もなく完売しています。
前述のさまざまな魅力から、当該エリアは賃貸でも長く住み続ける人が多いエリアでもあります。
「賃貸で何度も契約を更新、10年以上住む方は少なくありませんし、賃貸で借りた人がこの地域で購入を決める例も多々あります。一度住んだら離れず、長く住む人が多いエリアなのです」と賃貸担当の黒田結香氏。なかなか、空室が出ない地域というわけです。
賃貸では新築で供給される物件とこのエリアで借りたい人とのギャップもあります。
「最近の潮流として、個人が運営してきた賃貸住宅の建て替え案件は、コンパクトな、主に単身者向けワンルームアパートになってしまうことが多く、広さと環境を求めるカップル・ファミリー向き物件が建つことはほとんどありません。そのため、賃貸で80㎡以上など、ある程度以上の広さの新築物件が供給されるとあっという間に決まります」と黒田氏。
好例が2021年2月竣工の「瀬田の杜Garden&Terrace」です。同物件は全54戸がホームページなどでの集中した広告を行う前にほぼ決まってしまったほどで、この地域での広さと環境を備えた物件へのニーズの高さを見せつけてくれました。
築年数が経っていても広さとグレードから人気の賃貸物件もあります。
「9年ほど他支店で勤務し、最近自由が丘支店に戻ってきたのですが、物件のラインナップは10年ほど前とほぼ変わっていませんでした。10年前に人気だった深沢ハウスは今も人気で、広さと質を兼ね備えた物件は強いとつくづく感じました」。(朝日)
この地域では土地の価格が高いため、土地を買って賃貸住宅を建てると考えると収支が合わないことが多いため、どうしても分譲されることになってしまいがちですが、ハイグレードな賃貸という手もあるのではないかと大場氏。
「深沢、八雲、田園調布などで弊社が手掛けた、賃料60~70万円の戸建て賃貸はこの10年ほど賃料は下がっておらず、ずっと満室稼働をしています。このエリアでは高額な家賃でも質と広さが妥当であれば借りたい人は多数いらっしゃいます。賃料10万円のアパートは築年が経つにつれて賃料が下がりますが、高額になればなるほど賃料は下がりにくくなるものです」。
このエリアの土地所有者の方であれば参考にしたいものです。
自由が丘では駅前に再開発の計画もあります。駅前西及び北地区の約3.1ヘクタールが対象となっており、そのうち、0.5ヘクタールの自由が丘一丁目29番地区では2021年度内に再開発組合の設立が認可される予定で、その後2023年度には工事に着手、2025年度には竣工予定となっています。目黒区のホームページには1階に街に開いたスペースのあるビルの完成予想図が掲載されており、これまでの自由が丘に無かった高層ビルが誕生することになります。詳細は決まっていないそうですが、これを皮切りに西地区、北地区と開発が続き、駅周辺地区が大きく変わっていくであろうことは間違いありません。
「それ以外にも駒澤大学駅前の複数店舗をまとめて建て替える計画があり、何度も噂が出ている三軒茶屋の飲食店が集まる三角地帯の再開発なども。どのような計画にせよ、この地域らしさを活かした開発、街の価値を上げてくれる開発であることが大事だろうと思っています」(大場氏)。
また、台風被害の影響で、一時期坪300万円を切っていた武蔵小杉のタワーマンションも現在は坪350万円で決まるようになってきています。賃貸も出ればすぐに決まるようになってきており、復調は明らか。エリア全体が上昇基調にあります」と朝日氏。
自由が丘支店は紹介、信頼を大事に個人の不動産所有者と付き合い続けてきた支店であるため、特に街の動向は気になるのだとか。これから城南エリアなどで家を買いたい、借りたい、あるいは売買したいという人であれば、自由が丘支店は不動産のみならず、街も含めた暮らしに必要な、現在、将来の情報が得られる場というわけです。
東京情報堂代表。街選びのプロとして首都圏のほとんどの街を踏破した、住まいと街の解説者。早稲田大学教育学部で地理・歴史を学び、卒業後は東洋経済、ホームプレス、東京人その他の紙、ウェブ媒体で編集者、ライターとして記事、書籍等を手がけており、主な著書に「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)、「解決!空き家問題」「東京格差」(ちくま新書)その他著書、かかわった本多数。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。宅地建物取引士、行政書士有資格者。
掲載中の物件名・プロジェクト名・駅名・社員の所属などの情報は2021年12月現在のものです。